仕事中に大けがを負ったのは勤務先の安全対策が不十分だったためだとして、大阪府八尾市のベトナム国籍の男性（42）が同市の金属加工会社に約1730万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であっ…

　政治や社会に「おかしさ」を感じて声を上げた若者たちに、容赦なく浴びせられた誹謗（ひぼう）中傷、バッシング、冷笑……。そんな現実に愕然（がくぜん）とした。　１９８７年５月３日に起きた朝日新聞阪神支局襲…

　京都水族館（京都市下京区）でこの秋、ハンドウイルカの赤ちゃんが生まれた。母親はイルカショーで人気のキア（推定13歳）。1年前の出産はうまくいかなかっただけに、安堵（あんど）の声が広がる。だが、その陰…

　関西地方の男性（29）は昨年12月、職場のテレビを見ていて、あるニュースが目に留まった。　岸田政権が、敵基地攻撃能力（反撃能力）の保有を明記した安保関連3文書を閣議決定――。　「また通ったんだ」　男…

　「40・3度の熱があるって」　能登半島地震発生から10日目の午前。約100人が避難している石川県輪島市の鳳至（ふげし）公民館がざわついていた。　女性（72）が毛布にくるまり、動けない。救急車で搬送さ…

　新型コロナウイルスの感染者や関係者へのデマや差別的な言動が、インターネット上を中心に広がっている。デマが広がると何が起きるのか。三重県南部の町では94年前、地域にデマが広がったことで、2人の命が奪わ…

　近畿大学が、大学案内のパンフレットに「美女図鑑」「美男図鑑」というコーナーを設け、現役学生を紹介している。「受験生に大学生活への憧れを抱いてもらうため」の企画と説明するが、「学生の容姿を前面に出す広…

　大阪府内の朝鮮学校に子どもを通わせる保護者らが16日、府庁を訪れ、補助金支給の再開などを求めた。保護者らは昨年4月施行のこども基本法を踏まえ、「全ての子どもたちが差別なく、権利が尊重される施策を」と…

　午前6時50分。教員の李紗陽（リサヤン）（24）は中型バスに乗り込む。十数人の児童を自宅周辺まで迎えに行き、学校に戻るのは午前8時半ごろ。　「真っすぐ教室に行くんだよ」「はーい」　何げないやり取り。…

　世界各地で核兵器廃絶を訴えてきたカナダ在住の被爆者サーロー節子さん（91）は、5月に開かれた主要7カ国首脳会議（G7広島サミット）を故郷の広島で見守った。その目に映ったのは、各国首脳の「核を手放した…

　大阪市生野区を舞台に、外国にルーツをもつ子どもたちを描いた「共生のまち　生野」が、デジタル版での連載を終えました。昨秋からの取材で、担当記者らが何を感じ、どう伝えようとしたのか。企画を監修した石田一…

　G7広島サミット（主要7カ国首脳会議）を前にした今年3月、小学6年生だった川中だいじさん（12）=大阪市=は外務省に電話をかけた。　サミットの取材申請には顔写真付きの証明書が必要だと同省のウェブサイ…

　大阪市西成区の市立成南中学校の3年生が、平和と反戦への思いを込めた創作劇を作った。力を入れてきた平和学習の集大成。ウクライナやイスラエル、パレスチナなどで戦火が絶えぬ中、平和を願うメッセージを込めた…

　大阪市生野区は今、まちづくりの基本理念に「異和（いわ）共生」を掲げている。「異なったまま、和やかに、共に生きる」という意味だ。　市によると、生野区の人口約13万人のうち2割強の約3万人が外国籍。特に…

　約40年続いた法解釈を突然変え、ある検察官の定年を延長した。経緯に迫ろうと一人の学者が情報公開を求めた裁判で、27日の大阪地裁判決は、「解釈変更は特定の検察官のためではない」とする国の主張を一蹴した…

　石川県輪島市の舩本正勝さん（60）は能登半島地震があった1日夕、先に避難していた母親と合流するため、自宅裏の山へ向かっていた。　途中、自宅のすぐそばにある奥津比咩（おきつひめ）神社の鳥居が倒壊してい…

　韓流ショップや韓国・朝鮮の食材店が東西約500メートルにずらっと並ぶ大阪市生野区の「コリアタウン」。ここを構成する三つの商店街が統合し、一般社団法人「大阪コリアタウン」が設立された。韓流ブームで急増…

連載「共生のまち 生野」一覧 ：朝日新聞デジタル

　石川県輪島市の森下政則さん（84）は能登半島地震から2晩明けた3日、倒壊した自宅で、輪島塗のお重を見つけた。政則さん手製で、何十年も使ってきたものだった。中には、妻・輝子さん（81）が作ったぶり大根…

　【大阪】パンッパンッ――。子どもたちの鋭いパンチがミットに当たる重い音が響く。大阪市生野区のボクシング教室「拳青会」。腰を低く下ろしてミットを構えるのが、教室を創設した生野朝鮮初級学校の校長・梁学哲…

　目覚まし時計の音で目を覚ますと、外はまだ暗い。決まった方向に向かって礼拝する時間だ。そして、父のことを思う――。　大阪に暮らす女性（32）は、そんな生活を始めて1年以上経つ。イスラム教に改宗してから…

　韓国・済州島（チェジュド）で軍や警察によって大勢の民衆が虐殺された「4・3事件」。事件を機に故郷から逃れて海を渡り、大阪へとたどり着いた在日コリアン1世の人生を描いた舞台劇「さいはての鳥たち」が5～…

　大阪大学は今春、外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える「複言語・複文化共存社会研究センター（阪大ふくふくセンター）」を大阪府箕面市の箕面キャンパス内に開いた。支援が必要な子どもがいる学校と、支え…

　車いすに乗った母と、車いすを押す娘がレッドカーペットの上を歩いていた。約1万人の大歓声に包まれるなか、病気で目が見えない母は懸命に手を振って応える。娘の目には涙が浮かんでいた。　母とは、在日朝鮮人2…

■耕論 「災害ボランティア考」　今回の震災では、不要不急の能登への移動自粛が呼びかけられ、SNSではボランティアが被災地に行くことを批判する声が広がりました。災害心理学が専門で、様々な被災地でボランテ…

　「共生のまち　生野」という連載を、朝日新聞のデジタル版と大阪版で続けてきた。紙面では5月末に始め、32回を数える連載に。大阪市生野区で暮らす、外国にルーツをもつ子どもたちの姿を紹介してきた。　生野区…

　午前6時、古い畳の上に敷いた布団の中で、隣家の音に目を覚ます。　「ジャブジャブ」　ホースから出した水を大きなバケツにため、女性が白菜を手で洗う。葉と葉の間に塩をすり込み、またバケツに詰めていく。一つ…

　「恐竜博士」と呼ばれる中学2年生が、大阪市天王寺区にいる。手にした図鑑は50冊を超え、読みあさった学術論文は100本近く。頭脳に蓄積した膨大な知識が買われ、最近は大学教授との対談もした。いったい何者…

　妻のおなかの中にいる子どもは、生まれる前から右足がないとわかっていた。　東京都の男性（53）と妻は驚き、夫婦で話し合った。「せっかく生まれてくれる命」　両方の親の反対を押し切り、2007年4月、女の…

　毎週火曜日の昼、大阪府庁の前に必ず集まる人たちがいる。雨でも、風の強い日でも。マイクを手に訴えるのは「子どもたちが学ぶ権利」の保障だ。教育の公的補助が途絶えて10年。ずっと続けてきた「火曜日行動」は…

　戦時中に大阪で生まれ、祖国・韓国と大阪のはざまを生きた在日コリアン男性がいた。平和を願って活動した男性の没後10年を機に、功績を振り返る催しが3月4日、大阪市である。　男性は2012年12月に亡くな…

　左腕に子どもを抱いた母親が、右手を振り上げて何者かに叫んでいる。巨大な母子像は、大阪・住吉で部落差別と闘う人々を41年間見守った末、5年前に沖縄へ渡った。その5分の1サイズのミニチュアが今月、再び大…

　アラームが鳴る。まだ朝の6時。　「世奈（セナ）（お姉ちゃん）、ちょっと待ってや」　大阪朝鮮中級学校＝大阪府東大阪市、「中級」は日本の中学にあたる＝1年の康来奈（カンラナ）（12）は、先に起きていた1…

　大阪府と和歌山、奈良両県の朝鮮学校で学ぶ子どもたちの絵画などを紹介する「在日朝鮮学生美術展」が16日、東大阪市民美術センター（同市吉田6丁目）で始まった。20日まで。　約500点が展示されている。美…

　「選挙は祭りだ」。そう訴える時事芸人のプチ鹿島さん（52）とラッパーのダースレイダーさん（45）が選挙現場に突撃する姿を描いたドキュメンタリー映画「劇場版　センキョナンデス」が、全国で公開されている…

　《こわくてしかたがないよ。いつもなきたいです》　石川県七尾市の縫製工場で働くインドネシア人実習生のドウィ・カリン・デルビナさん（20）の日記に記されている。　昨年5月に来日して以来、毎日欠かさず日本…

　その日、白いワイシャツ姿の高校生約20人は、授業を無断で欠席した。　大阪府の教育委員会へ、抗議に向かうためだ。　府立高校に対し、「国葬」で弔意を示すため、午後から半日休校とする通達を出していた。　相…

　性交渉には同意したが、避妊するよう求めたら拒まれた――。女性がこう訴えて173万円の賠償を求めた裁判で、大阪地裁（仲井葉月裁判官）は19日、「女性の性的な自己決定権の侵害だ」と認め、男性に74万円の…

　恋人同士や夫婦のもめごと、浮気、別れ際……。そんな「恋愛の修羅場」を描いたカルタが大阪・北新地で誕生し、ひそかに人気を呼んでいる。しかも、制作したのは中華料理店。一体どういう経緯で生まれたのか。　「…

　朝鮮半島にルーツをもつ人々が多く暮らす大阪市生野区。今夏、廃校になった市立小学校の校舎跡に、二つのインターナショナルスクールが開校した。相次ぐ進出の背景には、生野の「国際性」が関係している。　「GO…

　原爆を想起させる画像に、映画「バービー」のX（ツイッター）公式アカウントが好意的な反応をした問題で、被爆地で核兵器廃絶に取り組む市民の有志が再発防止などを求めるオンライン署名を始めた。「原爆投下と被…

　大阪府泉南市の添田詩織市議（35）＝自民＝からネット上でヘイトスピーチを受けたとして、在日コリアンの李香代さん（58）が添田氏に550万円の賠償と投稿削除を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、大阪地…

　広島で被爆し、ブラジルに移住して在外被爆者援護の実現に尽力した森田隆さんが12日、サンパウロの病院で死去した。100歳だった。13日に葬儀が営まれた。　森田さんは1924年、広島県砂谷（さごたに）村…

　免疫異常などで血糖値を調整するインスリンが作れなくなる「1型糖尿病」を発症したのに、障害基礎年金の支給を止められたのは不当として、患者8人が国に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁…

　「同族」の遺骨を心地よい風が吹く山の墓に戻したい――。昭和初期、京都帝国大学（現京都大）の研究者が沖縄県の墓から持ち出した遺骨の返還を求めた訴訟の判決が22日、大阪高裁で言い渡される。　返還を求めて…

　ロシアによるウクライナ侵攻から500日となったことに合わせ、日本ユニセフ協会が10日、ウクライナ支援に関する報道向けの報告会を東京都内で開き、支援を呼びかけた。歌手のMISIAさんがゲストとして同席…

　開校から70年以上も保健室に職員がいなかった埼玉朝鮮初中級学校（さいたま市大宮区）に昨年4月、初めて「保健室の先生」が来た。看護師の裵（ぺ）佳音（かのん）さん（30）。在日朝鮮人の夫がいる日本人で、…

　能登半島地震が起きた4日後の1月5日。普段は大阪で勤務する記者は、石川県輪島市の避難所で、ある男性と出会った。　森下修さん（55）。父の政則さん（84）は無事だったが、倒壊した自宅の下敷きになった母…

　被差別部落の地名や写真をネット上で公開され、憲法が保障する「差別されない権利」を侵害されているとして、大阪府内の70代男性と部落解放同盟大阪府連合会が8日、出版社代表に公開差し止めと計1100万円の…

　選挙記事は、候補者全員を取材してから書く――。そんな信条を持つフリーランスライターの畠山理仁（みちよし）さん（50）を追ったドキュメンタリー映画「NO　選挙,NO　LIFE」（109分）が、大阪市淀…

　人が殺され、人権が踏みにじられている。人々の関心はウクライナで起きる残虐行為にばかり向けられているように感じていた。同じことがミャンマーでも起きているのに。　ミャンマーでは国軍が起こしたクーデター以…

　大阪府門真市の山田秀音（しゅうと）さん（29）は、建設業を営む傍ら、少年院での講話や講演会など、更生支援に取り組んでいる。罪を犯した若者たちを前に、こう切り出す。　「おれもそっち側にいたんやで」　自…

　７９年前に広島で降った「黒い雨」。正体を探るべく、雨を浴びた１００人近くを訪ね歩いてまとめた新書「『黒い雨』訴訟」が昨年、日本ジャーナリスト会議（ＪＣＪ）賞に選ばれた。　大学生の時、被爆者の証言を聞…

　弁護士の山岸久朗さんは先月下旬、コインパーキングの積算金額を見て目を疑った。　「えっ？　4800円？」　初めて利用した大阪市北区の駐車場。看板には以下のような表示があった。　「午前10時～午後4時の…

　入管難民法改正案に反対するSNS上の動きを、インターネット上の仮想空間で表現する「メタバースデモ」に賛同が集まっている。　「メタバースデモ」は、東京都在住で画家の藤嶋咲子さんが考案した。藤嶋さんは、…

　大阪府立大阪わかば高校2年のエスピノサ・カサンドラ・ソイラ（16）は、自分の母語を「ビサヤ語」だと言う。フィリピンの中南部で使われる現地語だ。　大阪で、フィリピン人の母と日系ペルー人の父との間に生ま…

　最大震度7を観測した能登半島地震の被災地では水や電気、燃料などが不足し���けており、避難生活に追い打ちがかかる。　半島北部にある石川県輪島市の市役所では5日、米谷起代志さん（83）が2リットルのペット…

　新潟県佐渡市の相川郷土博物館で28日、朝鮮半島出身者を含む鉱山労働者に関する常設展の公開が始まった。市内にある「佐渡島（さど）の金山」の世界文化遺産への登録が27日に決まった際、世界遺産委員会の委員…

　2日の参院本会議で成立した改正種苗法を取り上げたドキュメンタリー映画「タネは誰のもの」（65分）の上映会が、津市で12日に開かれる。農業や環境の問題と向き合うドキュメンタリー作品を制作している原村政…

　技能実習生、高度人材、留学生……。日本に暮らす外国人は年々増え続け、日本で生まれ育つ外国人の子どもも増えている。そんな外国人の支援に取り組む三重県鈴鹿市のNPO法人「愛伝舎」は、外国人の子育ての支援…

　半日授業を終えた昼過ぎ、生徒たちが続々と食堂に集まっていた。　長机といすを1カ所に寄せ、地べたに座り込む。60～70人はいただろうか。　1967年10月31日に行われた吉田茂元首相の「国葬」に際し、…

　在阪朝鮮人史や軍事史を研究してきた塚崎昌之さん=大阪府吹田市=が9月、67歳で旅立った。大阪各地で戦争の傷痕と朝鮮人の足跡をたどるフィールドワークを繰り返した。おだやかな語り口に、背筋をピンと伸ばし…

　高校受験のサポートはIKUNO・多文化ふらっと（大阪市生野区）の活動の柱だ。来日生徒にとって日本語での試験そのものに加え、日本の受験制度を理解する難しさもある。　今春は教室に通う17人が、高校入試に…

　懇親会への不参加などを理由に「協調性」を低く評価されたことは納得できない――。大阪市職員がそう訴え、市人事委員会の判定取り消しを求めた訴訟の判決が17日、大阪地裁（尾河吉久裁判長）であった。　訴状に…

　ミャンマー民主派の国民統一政府（NUG）への支援を訴える僧侶のアシン・ターワラさん（38）がこのほど、大阪市内で記者会見した。2021年2月のクーデターで政権を握った国軍について「日本政府は関わりを…

　静かな団地の半分が更地になっていた。　広島市のはずれ、山林を造成してできたその団地には約40棟の住宅が建つ。　団地の中央に走る道路を挟んで北側はほとんど更地で、住宅は南側に集中している。　6月下旬。…

　初めて大阪府立大阪わかば高校（大阪市生野区）を取材に訪れた昨年10月27日は、文化祭の日だった。　午前中のプログラムは舞台発表。体育館に生徒が続々と登校してくる。　わかば高には服装や頭髪の校則がない…

　東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市で、震災の記憶を伝え続ける若い新聞記者がいる。「復興の役に立ちたい」という一心で、6年前に三重県から移住した。記者生活4年目の今、被災地から地元にある思…