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@hakushi_tsu02

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一日一本~三本、不定期に140字小説を投稿します。御二兎レシロ @hakushi_tsutan の支店。アイコンの素敵イラストは片喰さん @exY4WHwJBP8NimA の作品です。

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@hakushi_tsu02
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1 year
「チッ、また親子二人でラーメン一杯かよ」無口な店主の無愛想な視線はいつもそう言っていた。思えば月に一度のそのラーメン屋が母の唯一の贅沢だったが、私はその時間が苦痛だった。だから東京へ出て初めて他の店のラーメンを食べた時、涙が出た。ああそうか。本当はこんなに少なかったのか一人前は。
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1 year
「もしもし母さん? 俺だよ俺!」典型的な偽電話詐欺だ。その癖ちゃんと息子の名を名乗り、声もあの子そっくり。だからこそ腹が立った。息子はもうこの世にいないのに酷い真似をする。「実は大至急お金が必要でさ」ほら来たと身構えると、電話の声はこう続けた。「頼めないかなあ、ほんの六文ばかり」
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@hakushi_tsu02
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4 months
桃太郎は「きびだんご一個で皆を鬼退治にまでは巻き込めません」と、鬼ヶ島へ一人で渡ろうとした。が、彼の仲間達は言った。 「桃太郎、我らはお主が大好きなのだ」 「犬……」 「そもそもだんごの義理でお供なんかするかよ阿呆」 「猿……」 「鬼を甘辛く炒めたやつ」 「好きな惣菜発表ドラゴン……」
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7 months
村長が「なぜ盗賊相手に峰打ちなど」と顔を歪めると、剣士は遠い目をした。 「俺はもう誰も斬らない――そう決めてるんでな」 「そんな甘い剣で、依頼した『盗賊団の壊滅』をどう果たすのです」 「案ずるな。さっき連中のアジトの井戸に、致死性の猛毒を撒いておいた」 「何だその斬る以外ならOK判定」
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9 months
小学校から帰った息子が「ねえママ」と何やら怪訝な顔で聞いてきた。 「電車って禁煙だよね?」 「ええ、日本の電車は大体そうね」 「うーん、じゃあやっぱり先生はいけない事してるのか」 「え。先生、電車でタバコを吸われるの?」 息子は「ううん」と眉を顰める。 「先生はいつもキセルなんだって」
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23 days
村長は「お前あの祠を壊したんかっ」と青ざめた。 「なぜそんな事を!」 若者は鼻を鳴らした。 「はっ、壊したからどうなるってんだ」 「……村が水の底に沈む」 「へえ、祟りで洪水でもあるってか?」 「いや、祠が壊れると近くのダムが爆破されるギミックをワシが仕込んだ」 「なぜそんな事を!?」
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9 months
親友に「おい何とか言えやコラァ!」などとタコ殴りにされた。次にハッと目を覚ませば病院で、傍らには妻と、そして俺をボコボコにした張本人がいた。俺が思わず「テメエッ」と野郎に掴みかかると、何やら今度は妻にビンタされた。「何するのっ。雪山で必死にアンタを起こし続けてくれた命の恩人に!」
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6 months
寿司屋の大将いわく、先日の海鮮丼コンテストは「失格が相次いだ」らしい。 「何だい、そんなにみんなルール違反したの?」 「いえ、ルール違反をしたのは一人だけでさ。ソイツのせいで審査員がみんな失格しやしてね」 「ん、どういう事?」 「その野郎、海鮮丼に大量のバラムツを入れやがったんでさ」
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2 months
「お客様は神様、とか言う奴いるけどさ」 友人は窓へ目をやり物憂げに口を開いた。外は今日も大雨だ。 「昨日ウチにヤバいのが来たよ」 「へえ。ペットショップにも来るんだ、困った客」 困った客って言うか、と彼女は顔を歪めた。 「ウチの動物全部、雄と雌一匹ずつ買ってったの」 外は今日も大雨だ。
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9 months
最近、恋人の口が臭い。それを指摘すると彼は「げ、自分じゃ分かんないもんだな」と念入りに歯を磨き、ガムを噛むようになった。けれどそれでもまだ臭い。勿論におい自体は改善されたのだが、今度はミントの香りが堪らなく臭い。……ああそっか。きっとこれ、知っちゃったせいね。彼が浮気してるって。
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4 months
村の祠を壊した夜、夢に妙な少女が出てきた。 「なぜ祠を壊したね」 「妹が生け贄にされるのが嫌だったの」 「邪神様が怖くないかね」 「怖いけど妹の方が大事だもん」 「ふふ、気に入ったよ勇敢な坊や」 ――村を支配していた新興宗教の教祖がボロ雑巾のような姿で見つかったのは、その翌日の事だった。
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6 months
「納豆って『腐ってる豆』だよね」 「そうだね」 「BL好きな人の事を『腐ってる』って言ったりするよね」 「言ったりするね」 「女性器の一部を隠語で『豆』って言うよね」 「……言うね」 「……」 「……」 「って事はつまり『納豆』は腐女子のク――」 「やめろバカまたフォロワーが減るだろが!!」
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13 days
友人いわく『ドラえもん』のジャイ子には本名の設定がないらしい。 「初期のジャイ子は酷いキャラだったから、ジャイ子と同じ名前の子がいじめられないよう配慮したんだと」 「へえ、さすが藤子先生」 「そこへくると全く『School Days』の製作陣は」 「ああ土下座すべきだよね、全国の伊藤誠さんに」
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1 year
#ラーメンの日 #140 字小説 【一杯のラーメン】 ※言うまでもなく発想の元にさせて頂いた有名なお話が存在しますが、一方でラーメンだからこその全く違う読み方も存在したりします。 ※別アカ(御二兎レシロ)より転載
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9 months
窓のない家を建ててくれ、と妙な外人に依頼された。「人が住む家を窓なしにするのは日本では違法なのですが」「その点は大丈夫デース」結局そんな調子に押し切られて家を建ててしまうと、彼は喜んで家中にワインを置いた。なるほどワインは光に弱い。……あの赤い液体が本当にワインなのかは別として。
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4 months
妻が何やら怪訝な顔で聞く。 「プラシーボ効果って知ってる?」 「薬だと思い込んで飲めば、ただの片栗粉も病気に効く――的な奴だね」 「アレって逆に、猛毒を飲んでも薬だと思ってたら効かなかったりするのかしら」 「んー、どうだろ。僕の場合は飲まずに捨ててるからなあ、君がくれるサプリメントは」
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18 days
我が家は代々、絶対に女が生まれない。大昔に先祖がそんな祟りを受けたらしい。ゆえに俺は霊能者に相談した。「妻が女の子を産んだのですが」霊能者は気の毒そうにこう言った。「DNA鑑定をおすすめします」ああやっぱりか、と思った。そして鑑定してみると案の定、俺と父は血が繋がっていなかった。
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2 months
友人が「このゲームは歴史を忠実に再現した作品だ」などと言い張るので、僕は「いや歴史を元にしたフィクションだよ」と呆れ顔をした。 だがタイムマシンで実際に見に行ってみた結果、友人は「ほら見ろ」と得意になり、僕は「ぐぬぬ」と歯噛みした。 まさか諸葛亮が本当にビームを放っていたとは……。
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9 months
夫は何でも中古品ばかり買う。家や車なんて大きい買い物は勿論、家具や家電、衣類に本と、とにかく中古で買えるものは全て中古だ。しかし、夫の幼馴染は「昔はむしろ『他人が使ったものは嫌だ』って新品主義な奴だったんだが」と首を傾げる。……これ多分バレてるな、私がバツイチを隠して結婚したの。
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9 months
140字小説なぞ書いていると『実話かと思った、紛らわしい!』といったお叱りを頂く事がある。ただこの手の声の大半が高圧的で命令調で、何なら罵倒を含んでいるのが面白い。つまり方々にとっては面識のない相手を攻撃する事よりも、読めば創作と分かる話をSNSに投稿する事の方がよほど罪であるらしい。
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4 months
村長は「アンタあの祠を壊したんかっ」と顔を歪めた。 若い旅行者は「はあ?」とニヤニヤ笑った。 「しょぼい小屋があるなあとは思ったけど、何の事すか」 「聞き直すぞ。アンタ、災害で身内を失った方々がお金を出し合って慰霊の為に建てたあの祠を壊したんか」 「……警察に自首した上で弁償します」
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9 months
狐と狸が「自分の方が化かし上手だ!」と大喧嘩しておりました。 見かねた犬が提案します。 「なら化け比べをしてみろ。お題は双方『相手の好きなもの』だ」 二匹は「よし勝負だ!」と、ボワンと煙をまとい、相手の好きなものに化けました。 すると――あれれ? 狐も狸も、全く元の姿のままでしたとさ。
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1 month
長年愛用した日本刀がやっと付喪神となり、想像通りのイケメンに擬人化した。だから私は彼に結婚を申し込んだ。が、彼は何やら目を伏せた。「実は拙者には、生き別れた鞘が――生まれついての伴侶があるのです」私は思わず「ふざけるな!」と怒鳴った。「貴様わからんのかっ、私がその鞘の付喪神だと!」
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3 months
妻が急に「私がおばさんになっても愛してよね」などと笑うので、私は呆れ顔を返した。 「そんなの無理に決まってるだろう」 「あら、酷いわね」 「なら聞くが、一体どうやっておばさんになるつもりだ。吸血鬼で、不老の身の君が」 「実はさっき貴方の実家から電話があって――妹さん、おめでただそうよ」
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23 days
夫は病的な守銭奴だった。けれど屋敷が火事で燃えた際、彼が必死に抱えて持ち出したのは金でも宝石でもなく、私の身だった。思わず感涙した私に、夫は平然と言った。「他は全て保険がおりる。君は生命保険に入れてなかったからな」あれから五十年。夫は結局、生涯、私を生命保険には入れさせなかった。
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4 months
僕の両親の馴れ初めは、母が『世界最強の男』を決める武術大会に男装して出場した事だという。 母が頬を染めて惚気る。 「決勝で当たったパパったら、私に『悪いが俺は女は殴れん』って耳打ちして棄権したの」 隣で父は苦笑した。 「まあもしも戦ってたら、確実に俺がフルボッコにされてたろうけどな」
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4 months
都内に『人肉を出す洋食屋がある』という噂は聞いた事があった。が、私は何気なく入ったその店のハンバーグを食べ、思わず絶句した。店主はそんな私の姿を見て「へえ、アンタそれが何の肉か分かるようだね」などとニヤニヤ笑う。待て待て待て。ダメだろコレ、人間は百年前に絶滅した事になってんだぞ?
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8 months
その手紙には妻の字で『貴方がコレを読んでいるという事は、私はこの世にいないのでしょう』などとあった。幸い実際は先日の手術は成功し、妻は病から生還したが――妙である。書かれた日付が五年も前だ。そして手紙はこう続いた。『万が一まだ貴方の隣に私がいるなら、それは“組織”が用意した偽物です』
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4 months
異世界転生する際、女神が「君にチート能力をあげよう」と笑った。 「ただし力には代償が伴う」 「代償?」 「ああ。君が力を使う度、イーロンがXをTwitterに戻す確率がどんどん減る」 ゆえに俺は遠慮なく力を使いまくって異世界で莫大な富を築き、それを元の世界へ持ち帰りイーロンからXを買収した。
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9 months
幼馴染は「私の為に争わないでっ」と泣いた。でもそうはいかない。口元の血を拭い「おい約束は守れよ」とイケメン転校生に念押しする。野郎は「お前こそ」と笑った。純粋な喧嘩の強さなら向こうが上な様子だが、負けられない。負けた方がこの、メンヘラくそストーカー女と婚約せねばならないのだから。
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1 month
愛猫が突然「コレは毎日お世話になってるお礼です」と、私の前に子猫の生首を置いた。そして私が思わず絶句すると「――ほら、こんなの困るだけだろ?」と呆れ顔をした。次の瞬間には子猫の生首はパッと消え、愛猫も人語を忘れてニャアと鳴いた。……私の村には、氏神様に生娘の生首を捧げる因習がある。
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9 months
深夜に公園で素振りをしていたところ、突如火の玉が飛んできた。ので、バットで打ち返した。すると翌日から毎晩飛んできた。ので、全てホームランにした。が、ある日ついに空振りさせられた。火の玉が手元で落ちたのだ。……それはちょうど、フォークを覚えたがっていた親友の四十九日の夜の事だった。
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2 months
友人は「高一の頃オカルト研究部に所属してた」という。 「へえ、ちなみにその部で一番楽しかった事は?」 「やっぱり部員みんなで百物語をやった合宿かな」 「じゃあオカルト研究部らしく、一番怖かった事は?」 「二年生になった時、担任に怪訝な顔をされた事かな。この学校にそんな部ないぞ、って」
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4 months
妹が料理教室をやめた。 聞けば講師から嫌がらせされ、包丁で指をざっくりやったのだという。 「材料を刻んでる時に後ろから押されたの」 「酷い。痛かったでしょう」 「ううん、大袈裟に痛がって見舞金たっぷり貰ったけど。わざとやった事だし」 「わざと?」 「そ。こっちから手を切ってやったのよ」
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3 months
占い業にゃ妙な客もあるもんで。 「私の寿命はあと何年かしら?」ってニヤニヤ手相を見せてきた外人さん。 これがまあ生命線が長い長い。 なのに見たまま「あと五百年は生きるね」って答えたら、目ェ丸めて「長居は無用ね」なんて帰っちまった。 ……バレないと思ったのかねえ、耳が長いの隠しときゃ。
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16 days
親友は妹を亡くしてから人が変わった。「絶対にアイツの仇を取る」が口癖になり、当時の強豪校に推薦を貰っていたサッカーもやめてしまった。根明なお調子者だったのがすっかり陰気になって、絶えず目元にクマを作るようになった。だから俺は涙した。ついに新薬の開発に成功した彼の隣で、共に涙した。
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1 month
信頼していた従順な副官が戦場で突然、私に逆らった。 私は怒鳴った。 「貴様も軍人なら上官命令に従えっ」 が、彼は淡々と言った。 「じゃあ僕は今ここで軍をやめます」 ああクソッ――ぶん殴ってやりたいが、負傷し彼に抱えられている身ではそれも叶わない。 私の事など置いて逃げろと言っているのに。
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@hakushi_tsu02
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14 days
妙なキノコを食べた友人達が皆、キノコ人間になってしまった。しかも俺にもキノコを食べさせようとしてきたから、泣く泣くガソリンをかけ全員焼いた。……が、刑事も医者も「違う、キノコを食べたのは君だ。幻覚を見たんだ」と言った。俺は絶望した。刑事も医者も、すでにその正体はキノコ人間だった。
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9 months
幼い頃の私は幽霊が見えた。でも家族も友達もそれを信じてくれず、一人そこら中にいる幽霊に怯えては、よく祖母に泣きついた。この祖母だけは私の味方で、いつも「大丈夫、大丈夫よ」と私を撫でてくれた。あの手の優しさを思えば、実に些細な話である。祖母が、私が生まれる前に亡くなっていた事など。
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@hakushi_tsu02
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3 months
何やら美女が過激な下着姿で、こちらへキスを投げてくる。 俺は混乱した。 「お、おい、何だあの女は!?」 「女? 何言ってんだお前」 「そうよ、岩に剣が刺さってるだけじゃない?」 どうやら戦士と僧侶には美女の姿が見えないらしい。 俺はハッとした。 勇者にしか“抜けない”剣、ってまさか――!?
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@hakushi_tsu02
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14 days
物置の冷凍庫に保管していた父を妻に見られてしまった。 「貴方おかしいわっ、今すぐ警察呼ぶから!」 「ま、待ってくれ違うんだ!」 「何が違うのよ!?」 「コレは俺が幼い頃に雪女に凍らされた、俺の親父なんだ!」 「だからってソレとっとくのはおかしいでしょ! 確かにやったのは私だけど!!」
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@hakushi_tsu02
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9 months
人気のネット小説に『クソつまらない、これを面白いと思う奴はアホ』なんてコメントがついていた。全くしょうもない野暮もいるものだと呆れていると、作者さんがそれにこんな返信をした。『あなたもクソつまらない小説を書いてみたらいい、見ず知らずの他人を罵るよりずっと簡単でずっと面白いですよ』
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@hakushi_tsu02
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6 months
オーク達はうっかり厄介な女騎士を捕らえてしまった。 「くっ、やめろ――貴様ら私に乱暴するつもりだろうっ、エロ同人みたいに!」 「いや、するか阿呆。逆に聞くがお前は異種族、たとえば雄ドラゴンに欲情するのか?」 「え、普通にめっちゃするぞ」 「おい誰かコイツを早急に返品してこい変態の国に」
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@hakushi_tsu02
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1 month
『学校がテロリストに襲われたら』なんて妄想をしてたら、本当に学校がテロリストに襲われた。もちろん散々無双できた妄想と違い、現実は残酷である。テロリストは何とか全員始末したが、僕自身も致命傷を負ってしまった。そして学校のマドンナが僕を抱いて泣き叫んだ。「お願い目を開けて教頭先生っ」
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9 months
奈良公園に行ってみて、自分はパラレルワールドに迷い込んだのだと確信した。何せ鹿が一匹もいない。あの独特の、鹿の臭いも全くしない。代わりに白衣を着た人が大勢いて、何やら「歯をちゃんと磨けてますか」などと声をかけてくる。とりあえず、土産にキシリトール配合の『歯科せんべい』を購入した。
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@hakushi_tsu02
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1 year
@ne_kotarou いえ、むしろその視点もとても素敵です。 拙作に“正しい解釈”は存在しませんので、そう読んで頂けた事も大変嬉しく思います。どうもありがとうです。m(_ _)m
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@hakushi_tsu02
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1 month
「娘さんと結婚させてください」そう私に頭を下げた彼は、誠実な好青年に見えた。が、職業を聞けば役者だと言う。だから私は後でこっそり、彼の舞台を見にいった。そして「先の彼の態度は演技ではないようだが、結婚はどうしたものか……」と悩んだ。と言うのも舞台上の彼は、台詞が全て棒読みだった。
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@hakushi_tsu02
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17 days
村長は「アンタあの祠を壊したんかっ」と涙した。そして「わ、ワシはアンタを――あの『大邪神の祠』を壊した伝説の祠壊しを探してたんじゃ。頼む、どうか我が村の祠を壊しとくれ」と土下座した。が、男は目を伏せた。「悪いがじいさん、俺は伝説の祠壊しなんかじゃねえ――祠から逃げた、ただの腰抜けさ」
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@hakushi_tsu02
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2 months
村長は「次にあの祠が壊されたら日本は終わりだ」と目を伏せた。 壊されると何が起こるのか問えば、彼はこう言った。 「あの祠は今までに四度、1989年、97年、2014年、19年に壊された」 私は「まさかっ」と戦慄した。それらの年に起こった事と言えば――。 「祠を壊されると消費税が上がるのですか!?」
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@hakushi_tsu02
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2 months
幼馴染が「君の怖いものって何?」と聞くので、僕は答えた。 「サキュバスが怖い」 幼馴染は「へえ?」とニヤニヤ笑い、その夜、正体であるサキュバスの姿で僕の夢に現れた。 そして翌日、真っ赤な顔で改めて僕に聞いた。 「……君、本当は何が怖いの?」 僕も改めて答えた。 「ちょろい幼馴染が怖い」
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@hakushi_tsu02
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9 months
自身のイラストへの批判コメントに『作者だって人間なんですよ』とレスしている絵師がいた。ぬるい奴だ。むしろ人間としての己の存在を消し、作品だけを消費者に届けてこそ真の創作者だろう。思わずそうコメントした。しかし返信はない。お前の為を思って言ってやったのに、全く人間として失礼な奴だ。
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@hakushi_tsu02
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21 days
「お前との婚約を破棄する!」伯爵はパーティの席で高らかに、そう令嬢に告げた。令嬢はドン引きだった。会場もドン引きだった。私も「うわあ……」と思った。そして令嬢は顔を真っ赤に伯爵をぶん殴った。「『大きくなったらパパのお嫁さんになるっ』は婚約じゃねえって何度言わせますのっ、お父様!」
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@hakushi_tsu02
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2 months
「チッ、また親子二人でラーメン一杯かよ」無口な店主の無愛想な視線はいつもそう言っていた。思えば月に一度のそのラーメン屋が母の唯一の贅沢だったが、私はその時間が苦痛だった。だから東京へ出て初めて他の店のラーメンを食べた時、涙が出た。ああそうか。本当はこんなに少なかったのか一人前は。
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@hakushi_tsu02
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16 days
@hakushi_tsutan #140 字小説 【タチの悪い合言葉】 ※再掲 《スパイの話でもう一本↓》
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@hakushi_tsu02
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6 months
夫がネットに食人ネタの小説ばかり投稿するので、私は呆れながら尋ねた。 「小説は作者の願望が表れる、なんて言う人もいるけど――あなた、まさか人肉を食べたいの?」 夫は「何を馬鹿な」と苦笑した。 「食べたい訳ないだろ、あんなまずい肉」 「なら良かったわ。まずい癖に買うと凄い値段ですもんね」
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@hakushi_tsu02
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2 months
親友がヤバい宗教にハマってしまった。何度も考え直すよう説得を試みたものの、そのたび口論になる始末。散々「間違ってるのはお前の方だ!」なんて言われれば腹も立つが、しかし大切な親友だ。何とか目を覚まさせてやらねば。何せあの宗教、平気で『人間は猿から進化した』とかほざくヤバさだからな。
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@hakushi_tsu02
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10 days
「見ろ、秘伝の“食パン”だ」「いや普通の食パンじゃん」父が出したそれに俺は拍子抜けした。代々パン屋なウチの秘密をお前に伝える時が来た、などと言うから何かと思えば。だが父は不敵に笑う。「ラブコメの『いっけなーい、遅刻遅刻ゥ!』でヒロインがくわえてるのは全部ウチのコレだ」「マジで!?」
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@hakushi_tsu02
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3 months
「お酒好きなんて理解出来ないわ」彼女は呆れ顔をした。 「煙草好きなんて理解出来ないな」彼は苦い顔を返した。 「大事な話をする時は飲まないでね」と彼女は彼にグラスを贈った。 「キスする前には吸わないでくれよ」と彼は彼女にライターを贈った。 二人は生涯、理解し合えぬを全く苦にしなかった。
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1 month
我が家に住み憑く落武者に朝から突然、足を斬られた。相手が幽霊だけに傷や痛みはなかったものの、何やら三十分ほど両足が全く動かなかった。ゆえにその夜、俺は「今朝はやってくれたなあオイ」と彼に酒を供えた。あの三十分のお陰で乗り遅れた通勤バスが、死傷者多数の横転事故を起こしたものだから。
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10 days
男は「誰か僕を殺してくれえっ」「ケケケ人間は皆殺しダッ」と同時に叫びながら、光線を放ち街を破壊していた。男には彼本来の頭の他に、寄生生物の、異形の頭が生えていた。研究者達が顔を歪める。「あの寄生生物は能力は高いが温厚なはず」「よく見ろ、『殺して』と泣いてるのは寄生生物の頭の方だ」
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@hakushi_tsu02
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1 year
#140 字小説 【もしもし母さん】
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@hakushi_tsu02
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1 month
面倒でスイカの種を吐かずに飲み込んでいたら、頭からスイカが生えてしまった。しかし夏休みが明けて登校してみると、何やらちらほら“お仲間”が。まず金持ちな親友の頭にはメロン、そして俺よりアホな悪友の頭にはブドウが生えている。驚いたのは超堅物な委員長で、彼女の頭にはギャル男が生えていた。
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@hakushi_tsu02
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13 days
「私、綺麗?」そう聞く口裂け女に、男は「それよりも」と笑って夜空を仰いだ。「月が綺麗ですね」「えっ」口裂け女はトゥンクと胸を鳴らした。だがその時、月がゴゴゴと回転した。そしてクレーターでボコボコの裏面を見せ男に問う。「これでも?」男は「はい」と微笑む。月もトゥンクと胸を鳴らした。
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@hakushi_tsu02
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3 months
愛猫には私の指を噛む悪癖がある。甘噛みとかではなく「痛っ」と声が出る、何なら血が出るレベルでがっつり噛む。ちょっとは手加減しろよ、なんていつも溜め息していたが、その愛猫がウチに押し入った強盗を撃退した時は心底驚いた。「ぎゃあ!」と悲鳴をあげた強盗は、綺麗に指を噛みちぎられていた。
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@hakushi_tsu02
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2 months
「カレー、作りすぎちゃいまして。貰っていただけません?」 隣に住んでいた彼女がそう俺の部屋の戸を叩いたのが出会いだった。 あれから五年。彼女は今日、彼女の地元の名士に嫁ぐ――筈だった。 だが不意の来客にドアを開けば、そこには花嫁姿の彼女がいた。 「貴方との思い出、作りすぎちゃいまして」
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@hakushi_tsu02
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9 months
彼氏は牛丼などに紅生姜が乗っていると、必ず最初にそれを食べる。そして嫌な事ほど先に終わらせるタイプである。だから「紅生姜嫌いなの?」と尋ねれば、彼は「まあ好きではないけど、なきゃないで寂しい感じ」と答えた。……先日こっそり覗いた彼のスマホには、私の名が『紅生姜』と登録されていた。
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1 month
トラックに轢かれ、気づけば何もない真っ白な空間にいた。 頭の中に謎の声が響く。 『君に良い知らせと悪い知らせがある』 「良い知らせは?」と問えば声が応える。 『君は今からチート能力を得て異世界に転生する』 「じゃあ悪い知らせは?」 『我々の作者は長編をちゃんと完結させた事が一度もない』
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@hakushi_tsu02
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24 days
「嫌な事を忘れられる宿、って売りだろう? 何も忘れられなかったよ」 長く商えば、時折こんな客も在る。 「左様に御座いますか」と笑顔で応じはしたものの、次ぐ一言には流石に泣かされてしまった。 「……やっぱり僕、幸せだったんだなあ」 その常連様がお一人でいらしたのは、今年が初めてだった。
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@hakushi_tsu02
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1 year
友人が八尺様と結婚した。 流石に心配して彼の新居を訪ねると、友人は「なに大丈夫さ」と笑った。 「彼女、毎日スーパーに通って手料理を作ってくれるんだ」 「マジかよ」 「マジさ。ほら聞こえるだろ」 促されて耳をすませば、台所から包丁の音と共に陽気な声が。 「ぽぽーぽぽぽぽ、ぽぽーぽぽぽぽ」
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4 months
十二支の創設時、神様が辰に告げた。 「君は未来の世において、皆の中で最も現実世界より空想世界で活躍するようだ」 「ほう、たとえばどんな活躍を?」 「七つの球を集めた者の願いを叶えたり」 「おお」 「好きな惣菜を発表したり」 「……ん?」 「人間の乗り物に欲情したり」 「大丈夫か未来の私」
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8 months
同じクラスの留学生が「ネ、ウシ、トラ、ウ、タツ、ミ、ウマ、ヒツジ、サル、トリ、イヌ、イ……んー?」と、何やら日本語学習のテキストを見て首を傾げている。 「干支がどうかした?」 「いえ、チョット納得いかなくテ」 「納得いかない?」 「干支の最後、なぜ最後なのに『トリ』じゃないデスカ?」
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3 months
魔王の娘は僧侶に化け、勇者一行に潜入した。だがこの一行、勇者を筆頭に底抜けのお人好し揃い。行く先々で人助けしては騙され、騙されては人助けし、彼女も散々振り回された。他者の笑顔を心底尊ぶ彼らに混じり「なんとバカな連中か」と呆れた。だから魔王の娘は結局、最後は一行と共に実父を討った。
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8 months
霊媒師が俺を見て「君め���ちゃ霊に憑かれてるね」と顔を歪めた。 「まず背後霊が憑いてる。で、その背後霊にも背後霊が憑いてて、その背後背後霊にもさらに背後霊が憑いてる」 「何そのドラクエみたいな状況」 「前から順に、戦士、魔法使い、僧侶のコスプレしてるよ」 「いや完全に悪ノリしとるやん」
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16 days
大佐は諜報員に標的の資料を渡し、告げた。 「コイツがクラウドに保存しているデータを盗み出せ」 「ふむ――しかし、この資料には肝心のクラウドの情報がありませんが。サービス名とかサーバー名とか」 「それが上層部も、ただ『クラウド』としか言わなくてな」 「まさに雲を掴むような話ですねえ……」
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2 months
親友が「俺、瞬間移動できるのかも」などと中二病を発症した。 「急に何言ってんだ君は」 「でもお前も見たろ。俺さっき車に轢かれそうになったけど、一瞬で数メートル後ろにワープして助かったんだぞ?」 「いや、めっちゃ反射神経よく飛び退いただけだろ」 ――まあ、本当は僕が時を止めた訳なんだが。
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29 days
私の社に「小僧に天罰を与えてくれ!」と駆け込んできたのは、桜の木の精だった。聞けば「春の陽気に気分よく咲いてたのに、悪ガキに枝を折られた」のだと憤る。しかし折られた枝の元まで案内してやると、彼はこう呟いた。「……天罰の件は忘れてくれ」彼の花枝は、悪ガキの妹の病室に生けられていた。
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18 days
えー、有名なところで『俺は差別と黒人が大嫌いだ』なんてブラックジョークがございます。私の父がねえ、ソイツを知ってか知らずか。こないだパリ五輪を見ながら、しみじみ言ったんですよ。「やっぱダメだなァ、人種差別と白人の審判は」ってね。いやはや全く笑えねえ、白黒つかねえ話でございますな。
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1 month
幼い頃、家によく妙な老人がきた。フラッと現れては、私達一家と食事をしてフラッと帰る老人だ。柔和な老人だったが、兄が廃寺で怨霊に憑かれてきた時は怖い顔をした。怖い顔で怨霊を「去ね」と叱って、怨霊はぺこぺこ頭を下げて消えた。不思議な事に今も昔も、家族は皆そんな老人など知らないと言う。
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3 months
図太い性格を買われ『髪が伸びる人形』を預かった。飾ってみるとなるほど、伸びる伸びる。ははは面白い。だが一年後、困った事になった。人形と逆に、俺の頭がツルピカになってしまったのだ。「やりやがったなテメエ!」怒鳴った俺に、なんと人形が鬼の形相で応じた。「いやそれ私のせいちゃうわ!!」
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3 months
王は軍の士官学校を視察し、校長に尋ねた。 「君は君の孫をこの学校に入れたいかね」 校長は答えた。 「勿論です王様」 その校長は即刻クビになった。 大臣が王に尋ねた。 「なぜ彼をクビに?」 王は言った。 「私が望むは強き軍だ。ゆえに練兵の場は、身内は絶対に入れたくない地獄でなければならん」
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7 months
祝福された銀で作った弾丸は、魔族に対し強力な特効を持つ。 だがその日、一人の職人が間違って普通の銀で弾丸を作ってしまった。 彼は仕方なく、完成した弾丸を前に歌った。 「ハーピバースデーだーんがーん、ハピバスデーだんがァん……」 ――この弾丸こそ、後に人狼王の頭を吹き飛ばすそれである。
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1 month
「お前がTwitterに投稿した絵を見て私はとても嫌な気分になった」 「はあ、そうですか」 「今すぐ絵を消して私に謝れ」 「ンな無茶な。そもそも別にあなたに『見てくれ』なんて頼んだ訳でもないのに」 「ふざけるなっ。他人をわざわざ不快にさせるなんて最低な人間だぞ!」 「自己紹介を恐れ入ります」
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1 year
「本当に便器から腕が出たんですね?」我が家のトイレを見るや、その霊能者は顔を青くした。業界でも指折りと名高い男だ。「ひとまず御札を作りましょう」そう走らせ始めた筆も震えている。その時点でただ事ではないと分かったが、札の文字を見ていよいよゾッとした。『霊はいない今すぐ警察に連絡を』
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2 months
旅先で「おいそこの奴」と祠に話しかけられた。 「お前、私を壊すなよ?」 「壊しませんよ」 「絶対に壊すなよ?」 「壊しませんよ」 「私を壊す動画をネットに投稿したらバズると思うが、絶対絶対壊すなよ?」 「壊しませんてば」 「いや壊せよ!!」 ……初対面でその絡み方は距離感が壊れてるんよ。
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2 months
魔王様が「勇者が攻めてきた時の盾にしてくれよう」などと笑い、また幼子を拐ってきた。勿論そんなものはただの口実だ。しかし数年後、その言葉は現実となった。勇者は魔王様を討たなかった。私をはじめ元は親から酷い虐待を受けていた大勢の者達が、どれほど魔王様に救われたか泣いて訴える様を前に。
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9 months
月に行くと、ウサギ達が何やら皆しょんぼりしていた。 「やあウサギさん」 「おや地球の人」 「何だか皆さん元気がないようですが、どうされました」 「実はここのところパック餅ばかり食べているもので」 「パック餅ばかり?」 「ええ、急に杵と臼が壊れてしまって……全くついてない話にございます」
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2 months
母はかつて魔王を討った勇者で、亡き父は母を支えた賢者だった――と、聞いていた。 だから「実は貴方は半分、魔王の血を引いてるの」などと母に明かされ、私は困惑した。 「じゃあ私の本当の父親は魔王なの……?」 「違う違う。パパに一目惚れしたママが、討たれたフリをして勇者に成り代わったのよ」
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2 months
幼い娘さんのいる部下にテディベアを贈ったところ、大変喜んでくれた。 「娘ったらもう毎日抱いて寝てますよ」との事で、嬉しい限りである。 私は「そうだ熊と言えば」と彼に聞いた。 「どうかね、先月入社したあの熊みたいな青年は」 部下は「ああ」と微笑んだ。 「そっちは僕が毎日抱いて寝てます」
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4 months
勇者は「決戦前に確認するぞ」と皆に声をかけた。 「私と君はおとり役だ、武闘家」 「承知した勇者」 「隙を見て魔王からレア装備を盗め、盗賊」 「任せな勇者」 「一発派手に極大魔法を決めろ、賢者」 「了解です勇者」 「今日の晩飯は何がいい、好きな惣菜発表ドラゴン」 「まおう甘辛く炒めたやつ」
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2 months
「くっ、これが魔王軍最強の黒ギャルの力か!」 「さすが黒ギャル、凄い魔法を使いますわね」 「やれやれ、あの黒ギャルを倒すのは骨が折れそうだな……」 ――などと勇者一行が私を『黒ギャル』呼ばわりしてくるので、私はキレた。 「いやウチ黒ギャルじゃねーし! お前らダークエルフなめんなし!!」
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2 months
「近頃『くねくねの正体は熱中症』なんて説が出てるみたいね」と話したところ、友人は「はあ!?」と激昂した。 「誰だそんなウソ広めてる奴は!?」 「誰って言うかまあ、SNSとかでの話よ」 「チクショウ上等だよっ! 今年は真冬にもくねくねしてやんよっ!!」 「あらあら頑張ってね。ぽぽぽぽぽ」
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@hakushi_tsu02
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6 months
俺は筋肉を裏切った身だ。資格の勉強の為、筋トレを捨てたのだ。正直たんぱく質量などを気にする生活にも疲れていたし、いい機会だとさえ思っていた。なのに通り魔に刺された俺を診て、医者が言った。「長年鍛えられたのですねえ、腹筋のお陰で刃が臓器に達してない――筋肉は裏切らない、って奴ですね」
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2 months
ある飲み屋で柄の悪い男が、小指の無い手を見せて店主にニヤニヤ言った。 「なあ大将、今夜はおごれよ」 だがその瞬間、店主の包丁が男の首をはねた。 男は慌てて己の頭部を拾い、叫んだ。 「何しやがるっ」 店主は呆れ顔をした。 「アホな人間の真似してねえで金払え。指ぐらいすぐ生えるだろ俺達は」
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@hakushi_tsu02
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4 months
かつて学校で『お互いを友達だと思っているか』が分かる、『相互友達』というアプリが流行った事があった。それのせいで幼馴染に「オレはお前を親友だと思ってたのにっ」なんて泣かれてしまい、実に気まずくなったものである。ふとそんな思い出話をすると、「まあお互い若かったよな」と妻は苦笑した。
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@hakushi_tsu02
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2 months
節約の為に外食をやめた友人が、何やらやつれた。 「いやあ、家で嫁の料理を食ってたら激痩せしちゃって」 「奥さんの料理マズいの?」 「いや、超絶品さ」 「なら何故そんな体型に」 「その……料理上手で美人で俺の嫁マジいい女だな、って再認識したら、こう……毎晩散々、な」 「……ごちそうさま」
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@hakushi_tsu02
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2 months
一時共闘して邪神を倒した後、魔王は笑った。 「ククク勇者、貴様との友達ごっこもここまでだ」 勇者もまた不敵に笑った。 「望むところだ魔王、決着をつけよう」 互いに最早、逃れられぬ宿命を悟っていた。 そして二人の声が揃った。 「「友達ではなく男と女として、結婚を前提に交際してくれ!!」」
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@hakushi_tsu02
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20 days
『よく出る台がある』と聞き、あるパチスロ店を訪ねた。が、俺は戦慄した。何やら噂の台の前に、血塗れの落武者がじっと立っていたのだ。しかも思わず逃げた俺を、その落武者は「待てえっ」と追ってきた。そして物凄い力で俺の肩を掴み、言った。「兄ちゃん今日あの台、設定6やで。打たな勿体ないで」
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@hakushi_tsu02
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1 month
「誰か助けて、ウチの子が川にっ」と女性が叫んでいた。見れば川の真ん中にバシャバシャともがく幼子の姿が。元水泳部として即座に川へ飛び込んだ。幸い水深は浅く流れも緩い。だが俺が無事その女の子を抱いて岸に戻ると、先刻の女性は悲鳴を上げた。「そ、その子さっき息子を川に引っ張った子っ……」
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@hakushi_tsu02
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7 months
父が事故にあい、植物状態になってしまった。 「先生、父は一生このままなんですか……?」 「大変お気の毒ですが」 尋ねた私に医者は目を伏せる。 が、当の本人は「おいンな暗い顔すんなって」と能天気なものだ。 「この身体も悪くないぞ。全身から葉っぱとか生えた分、光合成できるようになったし」
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@hakushi_tsu02
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1 month
友人は青い顔で「昨日の夜、妙な女の幽霊に出会してな」と話した。 「どうやって家に帰ったか覚えてないんだ」 「うわ出た、怪談の定番『その後の事はよく覚えてません』オチ」 茶化してみるも、彼は「いや本当の話なんだよ」としんどそうに頭を抱える。 「一緒に飲み屋四五軒ハシゴしちゃってさ……」
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